屋代: 本日はOSSコンソーシアムビジネスアプリケーション部会による第一回座談会を開催したいと思います。
題材は「オープンソースじゃなきゃ駄目」
では、まず「オープンソースじゃなきゃ駄目」の著者である湯澤氏より、何故オープンソースじゃなきゃ駄目なのかを一言いただけますでしょうか。
湯澤: パッケージだと、メンテナンスできなくなる可能性があって怖いじゃないですか。
よく言うんだけど、パッケージだとカスタマイズした部分の著作権もベンダーのものエンドユーザとしては、事実上のプログラムを支配されていることになります。
「オープンソースじゃなきゃ駄目」という本があるんですが、読んだことあるひとはいますか?
屋代:読んだことあります。オープンソースに対する愛が伝わってくる内容で、とても感動しました。
湯澤:僕が、2005年かだったかに書いた本で、1000部印刷して、最近やっと在庫がなくなってきました。
今回はその「オープンソースじゃなきゃ駄目」を改定したいと思っており、皆さんのお知恵も拝借できればと考えております。
屋代: 大塚さんScalixはオープンソースだから導入が決まった事例ってありますか?
大塚: オープンでな無い部分で決定した事例が比較的多いですね。
オープンで無い部分というのはActiveDirectoryなどと連携できるからという理由です。
ただそれは逆にオープンな製品だから様々な連携ができるのでは無いでしょうか
つまりオープンソースソフトウェアの強みはソースがオープンなだけでなくプロトコルなど連携するインターフェース(データ連携)などもオープンなところが強みだと思いますし、採用メリットがあると思います
屋代: 実はオープンソースにしておくことにより、自然と連携しているソリューションが増えていきますよね。
クローズドな世界ではそういったことはあり得ないですからね。
大塚: Scalixは完全なOSSでは無いですが、様々な製品と連携ができるので既存システムを捨てる事無く利用できるエコシステムとして評価されております。
増田: 先日お会いしたMSの担当者の方も、既存のMS(windows)環境にOSSをエンハンスしていくと言う流れがあって良い、実際にMSプロダクトも OSS互換(と言う言い方もおかしいですが)の動きが出てきているとの事。IISとPHPの連携などは、結構進んでいるようです(これは私が知らなかっただけですが)
福光: SugarCRMはユーザがカスタマイズできる場合にはOSSだからということはありますよ。
ただ、ほとんどの場合はOSSという理由はなく業務にあう機能と金額です。
CRMの場合には業務に合わない部分をカスタマイズして利用するので、業務アプリの中ではOSSのメリットはあるかと。
屋代: 増田さんはオープンソースで営業しているのでしょうか?
増田: OSSを知ってもらうと言う意味で、ゼンクの場合、話の最後にOSSと話題を振るようにしてます。結構興味は持ってもらえます。
この前、行った食品卸の会社でたまたま販売管理システムのリプレイスを検討していたので、セミナーで余っていたOlutを紹介してきました。無料、カスタマイズ可能と言う点で興味は持ってもらいました。
あと、開発者(エンジニア)の観点から言うと、その人の技量を見る上で、スキルシートで「これやってます」と言うより、OSSのコミュニティでこのくらい活躍してますとか、Linuxのカーネルに自分のコードがどのくらい採用されたとかと言う方が明示的だと思います。
湯澤: 開発者の能力のごまかしが聞かないですね。
屋代: 湯澤さんはいかがでしょうか。
湯澤: 値段勝負になってしまっていますね。
値段が安いという話題についつい引っ張られて、本質が見えなくなることがありますね。
屋代: 一言にOSSでビジネスをしていても皆さん違った特徴がありますね。
屋代: オープンソースは本当の利用者にとってはメリットがわかりづらいところですね。
湯澤: わかりづらいことは説明しちゃわなきゃいけないですね。
福光: どのように説明してますか?
屋代: 総務部に対してはオープンソースの説明はほとんどしません。説明をするとすればソースコードが公開されていて、みんなで利用してみんなで良くしてくモデルです。といっています!
湯澤: 商用ソフトウエアの問題点は永続性のなさですよね。
商用ソフトはライセンス体系の変更がベンダーしだいでとても怖いですからね。
増田: WindowsのCALなどはベンダー本意の典型的ですね。
湯澤: OSSの弱点といえば、見た目のシンプルさかな。機能は豊富なんだけどなあ。
社長は理解している人が多いように思いますが。
湯澤: オープンソースは野菜と似てるよね。オープンソースは泥つき野菜。イメージは悪いけどとてもおいしい。
増田: 印象が悪い「どろ」の部分はどこなのでしょうか?
湯澤: 自己責任という言葉がつきまとっているところですかね。
オープンソースは自己責任というイメージがついていますが、ソフトは基本的に自己責任ですよね。
屋代: オープンソースは自己責任ではあるが最近はサポートベンダーがたくさんいるので問題ないと思いますしね。
大塚: オープンソースをサポートしているベンダーは情に厚く、手厚いサポートをしてくれる場合もあります。
福光: それは私も感じます。
増田: フリーソフトとOSSの違いについて、お客様の誤解を解くことは必要な気がします。
屋代: ここはそれについてはまたの機会にいたしましょう。
オープンソース・ビジネス株式会社 福光正樹
株式会社廣告社ぶれいん 湯澤一比古
株式会社ゼンク 増田芳憲
日本スケーリックス株式会社 大塚和彦
株式会社マインド 屋代和将