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2020/04/10

ヒアリングしたニーズが何故、ズレるか?という話

Tweet ThisSend to Facebook | by nishino
 先日、「"意思決定問題" から見えた "現状ニーズと将来トレンドの不一致問題"」と言う投稿をしました。

 端的に言うと、日本の社会は、過当競争社会の上に構築した安心社会なので、組織の中では、重ね重ね、足の引っ張り合いが発生しているかと思います。それが、専門性が排除され、組織内ミッションに閉じた、作業寄与型の組織が構築される原因になるのかも知れません。

 今回は、もう一歩踏み込んだ、「アンケートでニーズをピックアップできない。」等の、構造上の問題について言及したいと思います。分析の対象は、「セグメンテーション(マーケティング)のプラクティスをしてみた。」で書いた、セグメントに関連付けられます。



<デマンドサイド>

<エンドユーザー>

 「アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけれども売れたためしがない。ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。お客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。」みたいな話があるようです(→ 顧客セグメント)。


 斯く言う私も、私も、バイク買う時、「乾燥重量 50 Kg 位で、WR250並の出力があって、公道走行も可能な保安部品付きオフ、安くて良いモノ無いかなー。」(≒ ヘルシーだけど肉と脂をガッツり食いたい)みたいな両立しない要件を言っている気がします。

<購買代理業者>

 既存事業の購買代理業者の場合、超大枠で言えば、例えば、「内製化という事業や寄与の対象外のニーズを認識できないから。」と言う話はありそうです。そう言う部分に関しては、新規事業の方が適切にニーズをピックアップ出来る気がします(→ ビッグ・アカウント)。

<サプライサイド>

<垂直統合、パッケージャ>

 既存事業は、垂直統合事業や、オープン・アーキテクチャのパッケージャは、既存資産(ノウハウやプロダクト等)を、如何に効率良く売るか?という事業スキームに変化して行くため、より、ニッチな方向に進みがちです。

 マーケティングの手法は、セグメント・マーケティング的で、この結果、一般マーケットの乖離が起こり、こう言った技術サポートとの足並みが揃わないケースも多そうです(→ インテグレーター、ソリューション開発、パッケージ開発)。

<要素提供者>

 要素単体勝負の場合、垂直統合事業や、オープン・アーキテクチャのパッケージャと比べれば、相対的に、マス・マーケティング的で、そう言う意味で、より、市場のトレンドに関連していると思います(→ 要素技術開発)。

 ICTの世界では、「ビッグデータ、AI、IoT、スマホ、クラウド、認証」等に該当するかと思います。書き出すと気付くのですが、垂直統合、パッケージャからみると、不思議とニッチに見えてしまいます(これが、某弊、繋ぎ目部会の存在意義なのかも知れません)。

<協創・新規事業>

 新規事業の場合、既存事業の枠にとらわれない、ニーズの発掘と其の対応が出来るようになって来ると思います。また、バリュー・チェーン、サプライ・チェーンも、より複雑になっていきそうです。

 具体的には、このプロジェクトの実現には、「DX系の顧客セグメント → ビッグ・アカウント → ソリューション開発 → 要素技術開発」とチェーンして行く必要があります。コレは、プロジェクトと言うよりもプログラムと言えるのかも知れません(コレが、以前から言っている、プログラム・マネジメントの重要性の高まりだと思います)。



まとめ:
 上記を俯瞰して見ると、全体的にサプライサイド都合のニーズには「嘘がある。」というより「都合がある。」と言うことになると思います。

 そして、このような、「過当競争社会 + 安心社会 + サプライサイド都合」では、エンドユーザのニーズに対応するための、価値の創出が難しくなってきている昨今。と言う事だと思います(コレの結論は、以前の投稿にも似ていますね)。

 ...となると、やはり、昨今の、
 価値創出に重要な事とは、

 「ニーズ(だけではなく、シーズ や ビジョンも)を重視し、複雑な、バリュー・チェーン、サプライ・チェーンを実現していく事

 と言えると思います。
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